最初の戦争・1

    太古の世界で最初に戦争が起きたのは、神々と巨人とではない。皮肉にも神々と神々とである。その原因の一因となったのは、オーディンとグルヴェイグと呼ばれる魔女である。魔女と言っても、我々が使っている魔法の1つである、ウィッチクラフトを使うウィッチという意味の魔女ではなく、人を魅惑する悪女という意味合いの魔女が近い。

    今回の焦点は、このグルヴェイグが原因となった神々同士の戦争と、その戦争で壊れたアースガルズ城壁の修復までの物語である。アースガルズ城壁の修復では、太古の世界において、最強の雷神トールとオーディンの義兄弟であり、また神々の敵である霜の巨人の血を引く奸計の神ロキが登場する。このトールとロキは、太古の世界においてオーディン同様、中心人物となっていく。特にロキは、世界終末戦争において神々の敵となっていく。しかし、ロキは必ずしも邪神ではなく、恩恵もあたえオーディンの影とも言われている。

    それでは、まず神々と神々との戦争を語っていこう。

    神々は、オーディンを中心とし、アースガルズに住むアース神族と豊穣、富、愛欲そして魔術などを司り、ヴァナヘイムに住むヴァン神族に分かれていた。アースガルズに住むアース神族は、

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