鬼退治の戦姫 ミユキ・1

    ミユキは東方の島国にある代々鬼退治をしている国の姫君である。ミユキには一人の兄がいた。兄は、国一番の武芸者でミユキはそんな兄のことを一途に慕い、兄のためならなんでもするほどであった。兄の方もミユキのことを大切に想いミユキのためならなんでもするほどであった。

    元々、ミユキたちはそこまで仲の良い兄妹ではなかった。兄は、幼い頃から武芸の腕前が高く、よく父とその家臣と共に鬼退治に行っていたのである。逆に兄とは違い、幼い頃のミユキは鈍くさく、なにかとついて回ることに兄は疎ましくをも思っていたのである。鬼退治は過酷である。強大な力を持ち人をも食らう存在。一体退治するのもやっとである。毎回毎回鬼退治に出た兄たちは満身創痍で戻ってきた。ミユキは、兄の治療を任されていたが持ち前の不器用さで、中々治療が上手くいかなかったのである。一度そのことについて兄はミユキに怒ったのであるが、

    「ごめんなさい……もっともっと、ボクがんばるね……」

    と泣かれて以来、為すがままになっていた。そんなある日のこと、兄は薪を取りに山へ行くことになったのである。それにミユキは兄

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