神々のはじまり・2

    ある時、ムスペッルスヘイムの熱風がニヴルヘイムの霜を溶かし、原初の巨人であるユミルと牝牛のアウズフムラが誕生した。ユミルはアウズフムラの出す乳を食料に生き、身体のいろいろな場所から霜の巨人と呼ばれる一族を生む。

    一方、アウズフムラは塩の霜でできた石を舐めて生きていた。その舐めた石からはブーリという巨人が生まれた。ブーリは、ボルという息子をもうけ、そのボルは霜の巨人であるベストラとの間に3柱(高貴な存在に対しての人称)の神々をもうける。その神々とはオーディン、ヴィリ、ヴェーである。

    ここに太古の世界において、中心人物の1柱であるオーディンが誕生することとなる。
     オーディンら3柱は、霜の巨人たちに嫌悪を抱いていた。恐らく嫌悪を抱いた理由としては、自分たちの力が十全にあると感じ、巨人がいなくとも自分たちだけで全てを仕切れると感じたのではないだろうか。そのため、まず手始めにオーディンら3柱はユミルを殺害する。ユミルから流れ出た血液は、洪水となって霜の巨人たちを飲み込み滅ぼしていった。しかし、幾らかの巨人は生き残り、また数を増やしていったという。このオーディンら3柱の理不尽な行いに、生き残った巨人たちは当然のことに神々に恨みを抱いた。

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