神々のはじまり・3

    この出来事が発端となり、神々と霜の巨人の対立が始まる。この頃にはまだ小さな歪みだった対立は、オーディンの暗躍により、取り返しが付かないほどの大きな歪みとなっていく。そして後にラグナロクと呼ばれる、世界終末戦争が起きる原因ともなる。

    ユミルの屍から世界の創造をおこなっていった。まず肉体から造った大地を造り、血液の余りを海や川、湖にした。また、毛髪は樹木に、骨は岩石、脳からは雲を造りだした。さらには、頭蓋骨から天を造りムスペッルスヘイムの火花から、造り出した太陽と月、星々を置き、季節が定められた。

    それからオーディンら3柱は、海辺で拾った2つの流木を人間の形に加工した。まず、オーディンがその流木に生命を与えた。ヴィリは感情と知性を与え、ヴェーは言葉と五感を与えた。この2人の人間は、アスクとエムブラと名付けられた。そして、大地に人間の世界であるミズガルズと、巨人の世界であるヨトゥンヘイムを造った。ミズガルズとヨトゥンヘイムとの境には、ユミルのまつげから造った塀を敷き、人間の世界と巨人の世界を遠ざけた。さらに、オーディンら3柱は世界の中央に砦を築く。

    こうやって、太古の世界は創り出された。そして太古の世界において中心となる砦、アースガルズが築かれていった。