ラグナロク・1

    ラグナロク――それは、太古の世界における神々と巨人たちが繰り広げた世界終末戦争である。ラグナロクは、神々が生まれたときから必ず起こると予言をされていた。しかし、オーディンとロキによって予言よりも早められてラグナロクは起こってしまった。そしてラグナロクでは、オーディンを中心とするアース神族と、巨人族に寝返ったロキを中心とする巨人族が対決することとなる。なぜ、ラグナロクは早められ、そしてロキは巨人族に寝返ったのだろうか。全ては、オーディンの息子バルドルの死によって起こったのである。

    オーディンの息子に、見目麗しく、賢く、そして優しく、全ての神々と生きる全てのものから愛されているバルドルがいた。あるとき、バルドルが悪夢を見続けるようになり、オーディンは冥界に赴き巫女に原因を尋ねた。しかし、巫女はオーディンが期待した答えではなく、バルドルが近いうちに死ぬと告げたのである。その話を聞いたバルドルの母フリッグは、世界中のありとあらゆるものに彼を傷つけないように契約した。

    ロキは、そのバルドルに対しての対応が気にくわなかった。そのため、フリッグをたぶらかしバルドルの弱点を聞き出すこととなる。その弱点とは、ヤドリギだった。フリッグは世界中のありとあらゆるものと契約したのだが、ヤドリギだけは幼すぎたため契約をしなかったのである。その話を聞いたロキは奸計を巡らした。

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