![]() |
他にも彼は異常な程に知識を求めていたのである。その異常とも思える行動に、ミーミルの泉での出来事がある。ミーミルの泉は、その名にあるように巨人ミーミルが管理する泉で、この泉の水を飲めば世界の全ての知識を得られたのである。彼はその水を一口飲むためだけのことで、ミーミルに片眼を差し出している。また、彼はユグドラシルの木でグングニルを自分の胸に突き刺し、飲まず食わずに9日9晩、首を括り自分を自分に捧げルーン文字を見出している。ルーン文字とは、先に語った言霊のような性質をもっている文字である。こういった自らを犠牲にする行為から知識に如何に以上までの執着があったか解るだろう。しかし、その異常な行動の原点はやはりラグナロクに備えてのことだったのである。彼は、ラグナロクに対して相当な恐怖心があったものと思われる。 さて、オーディンが持つ槍グングニルは、ドワーフの職人イーヴァルディの息子たちがユグドラシルの木を材料に柄を作り、穂先にルーン文字を刻み作った投擲用の槍である。このグングニルの狙ったものに必ず命中するという単純ながらも、武器としては最低の力で最高の威力を持っている投擲用の槍である。しかし、この槍は残念なことに巨人たちに対して使われたことはほとんど無かった。一番よく使った相手は皮肉にも人間たちに対してだったのである。 その代表としてシグムンドの話がある。シグムンドは、オーディン |
![]() |