千鳥とは・1
    自身でも良く使っていたという。しかし雷、そして雷神を斬った際の後遺症として道雪は下半身が不随となってしまったのである。

    道雪は、千鳥を生涯手放さないほど大切に扱い、数々の戦を千鳥とともにくぐり抜けている。さて、先ほど道雪は下半身が不随となったと述べたが、戦場には多く参戦している。どのように戦に出ていたかというと、ミコシ(御輿)と呼ばれるものに乗って戦っていたのである。御輿とは、どうやら持ち運び可能な教会らしく、その教会の部分を改良して道雪が乗っていたようだった。そんな状況で戦に出ているため、私のように後方で指揮を執っていたかと思いきや、最前線で指揮を執りながら戦っていたというから驚きである。千鳥を手にそして、御輿の上から戦うこと三十七回。一度も負けることがなかったという。

    道雪の性格はというと軍規に重きを置き、そして非常に部下を大切にしていた。軍規を犯した者には、その共謀者、そしてそれを止めなかった者まで罰則を与えていた。その反面、戦では「弱い兵士はいない。いるとすれば大将である私の責任だ」「手柄は運である。手柄を焦って死ぬことは不忠である。おまえたちがいるからこそ私も安心して戦えるんだ」といい、またある時は客を招いた席で部下が粗相をすると「私の部下が失礼をしたが、彼の強さは兵士十人に匹敵するから許してくれまいか」といい部下に恥をかかせなかった。

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