千鳥とは・1

    千鳥とは、ユーラメカ大陸の遙か東方にある島国に伝わる刀と呼ばれる剣である。東方の島国で戦国時代と呼ばれる頃に、立花道雪という将軍が持っていたといわれている。残念なことに我がバレンシア王国には資料がなかったのだが、幸いのことに旧カスティリア王国には言い伝えが残っており、さらに第一王女であるウラッカが尊敬する人物が立花道雪だったためこうして書き記すことが出来た。

    『千鳥』は、柄の部分に千鳥の浮き彫りがあったことからその名が付いたといわれ、派手な装飾はないが絶対に折れることもなく良く斬れるという実践向きの刀だった。そして、後に『千鳥』という名から『雷切』と呼ばれるようになり、本来の名である『千鳥』よりも『雷切』という別名の方が有名となる。この『雷切』と呼ばれたのには以下の逸話がある。

    ある日、立花道雪が木陰で休んでいると晴れていた空が急に暗くなり、雷鳴を轟かしながら雷神が降りてきた。雷神は、道雪の姿を見るやいきなり雷を放ったのである。その放たれた雷に対して道雪は千鳥を抜き、雷を斬り捨てそして雷神をも斬ったのである。雷神を斬った道雪は瞬く間に噂され、民衆は道雪を『雷神』と呼び、そして千鳥は雷と雷神を斬ったことから『雷切』と呼ばれるようになった。道雪自身もこの『雷神』と『雷切』の異名は気に入ったらしく

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