月神の弓とは・2
    かった。医者になにか助ける方法がないかと詰め寄ると、医者はドラゴンの心臓ならば娘を助けられるかもしれないと告げる。ドラゴンは生命力が異常に高いことで知られている。その生命力の高いドラゴンの心臓ならば、もしかしたら娘は持ち直せるかもしれないと。

    猶予は三日という中、彼はドラゴンが生息していると言われている場所へ急いだ。その場所は遠く、寝ずに馬を走らせても一日は優にかかる場所だった。しかし馬が疲れ嘆こうとも歩み足を止めようとはしなかった。

    二日目の朝、目的地にたどり着くも無理をさせた馬は死んでしまったのである。彼は帰りの足を探すよりもまず、ドラゴンが住むとされている洞窟に潜っていく。その洞窟の最深部にドラゴンはいた。非常に巨大で山のような姿で横たわっていた。

    ドラゴンは、火を噴くことはなかったが巨大な足やしっぽで彼を押しつぶそうとした。彼は反撃に転じるが、ドラゴンの鱗は硬く剣が通らなかったのである。ドラゴンの攻撃を避けては、反撃を繰り返していくが、致命傷を与えるどころか、自分が消耗していくことを感じ取った。そこで、外からの攻撃では無理と判断し、自らドラゴンの口の中に入り内側から攻撃するという無謀とも思える決断をする。彼は

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