月神の弓とは・1

    ユーラメカ大陸の南方にある国シーリア王国の元将軍。

    ガレオンは、政治力はもちろんのこと、武芸も天才的な才能を持っていた。特に武芸に関してはシーリア王国でも右に出る者が居らず、内乱などに対して自らも前線に立って戦うほどであった。そういった危険を顧みない姿を国民は「勇猛なる将軍」と呼び敬い、称えていた。また、彼には一人の幼い娘がいた。彼の細君は娘を生んで死んでしまったため、忘れ形見である娘を非常に大切にしていた。

    シーリア王国では、古くから元老院制を採用していた。元老院は、ガレオンのその若さと才能に嫉妬し、彼を疎ましいと思っていたのである。

    元老院は彼を失脚させようと画策をする。そこで、目をつけたのが彼の一人娘だった。元老院は、彼の娘を殺し生きる希望を失わせあわよくば、彼を殺して失脚させようと考えた。そして、密かに彼の娘に毒を盛ったのである。

    彼は、娘を助けるために国一番の名医を呼び寄せるが、その毒には解毒剤がなく、医者は余命が後、三日と告げるだけしか出来な

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