

主人公『伊藤 誠(いとう まこと)』が、
隣のクラスの『桂 言葉(かつら ことのは)』を見つけたのは2学期の始めだった。
彼女は同じ路線から通っていて、いつも同じ時刻の電車に乗り本を読む。
それに気が付いてから、誠は単調な毎日の通学が少しだけ楽しみになった。



別に付き合いたいとか、気づいて欲しいわけじゃない。
遠くから眺めていられるだけで、その日がちょっとはマシになるような気がしたんだ。
「好きな人の写真を待ち受けにして3週間、誰にもバレなかったら恋が成就する」
流行のおまじないなんか信じているわけじゃないけど…

ある日、隣の席になった『西園寺 世界(さいおんじ せかい)』に
待ち受け画面に映った言葉の写真を見られ、察しのいい彼女は誠の密かな想いを知る事になる。
誰にも言わないと約束させる傍ら、突然応援されることになった誠。
それは何か作戦じみていて、平凡で曇った毎日がとたん鮮明な色を持ち始めた。



始めは強引に誘われた3人のランチタイムから。
次第に打ち解け誠と言葉が急接近する中、世界は物思いにふけることが多くなった。

夕焼けのホームで、初めてデートに誘った言葉を待つ誠。
そこに、学校帰りの世界がやってくる。
順調に進んだ作戦、誠は世界に感謝しなんでもお礼をすると約束した。

「じゃあね…これだけでいいや」



呆然としたままホームで立ちすくむ誠。
電車の中、独り涙する世界。
嬉しそうな表情で駅へと急ぐ言葉。
三者三様の表情で物語が始まった…



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