〜第一章〜
「はやくはやくー!ごはん食べる時間なくなっちゃうよー!」
「待って〜待ってなの〜」
優しい光が降り注ぐお昼休みの時間。二人の少女が丘を駆け上っていく。
前を走る少女は元気いっぱいに、後方の少女は一生懸命に前を行く少女を追いかけながら。
ここは魔法の国「リュミナス王国」。魔法の実力によって選ばれた王室の魔女たちが、代々国を護っている。
まもなく丘の頂上に到着しようとしている少女たちは魔女の卵たちだ。 リュミナス王国に生まれた女の子たちは全員王立の魔法学校に入学する。 そこで魔法の実力を磨き、将来のリュミナス王国を護る魔女として王室に選抜されるのが、少女たち共通の目標となっている。
「着いたー!いっちばん!」
後ろから付いてくる少女を全く気にせず、ノンストップで丘の頂上に駆け上がってきた少女は大声で叫んだ。
「あら、わたしの方が先に着いていたわ」
丘の頂上には先客がいたようだ。先客の少女は丘の頂上にある魔法の巨木-リュミナスツリー-の隅に並んで置かれているベンチから立ち上がった。
「あれ?もう来てたんだ!負けたー!」
「わたしのクラスの方が授業の終了が早かっただけよ。マールの負けではないわ」
柔らかなブラウンの髪をサイドに結わえた少女がマールと呼ばれた少女に答えた。
「そうじゃないの!あたしよりシェルの方が先に着いてたんだから、負けなんだよ!悔しい!」
頭に大きな花の形のリボンを付けたきれいなピンクの髪をショートカットはとても活発な印象を与えている。
シェルと呼ばれた少女は大人びた雰囲気で身長も高く、同じ年の二人だがかなり対照的な容姿である。
そして…
「はぁはぁ…走っていっちゃダメって言ったのに…いたた…」
光沢ある美しい黒髪をツインテールにした少女がようやく頂上にたどり着いた。 途中転んだようで洋服がところどころ汚れてしまっている。
「リルテったらまた転んだの?せっかくの可愛いお洋服が台無しよ」
最後に到着した少女の名はリルテ。ツインテールを軽やかに振って二人に近づいてくる。
「だって授業が終わったとたんにマールちゃんが走りだしちゃったんだもん。慌てて追いかけようとしたら…」
「だって、リルテを待ってたらごはん食べた後に遊ぶ時間がなくなっちゃうでしょー」
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