「なんだとー!じゃあかけてやるー!メアマーナ…」
「こら!ケンカしちゃダメ!全く、もうすぐ修行に出かけるのよ。もっとしっかりしないと進級できなくなっちゃうわよ」
再び言い合いを始めてしまった二人をたしなめつつも、シェルは仲の良い二人と過ごせる時間に愛おしさを感じていた。
少女たち三人はみな今年で10歳になる。人間界で言うところの小学校にあたる王立魔法学校初等科の4年生だ。
魔法学校は初等科、中等科、高等科に分かれ、学ぶ魔法も少しずつ難しくなっていく。
高等科卒業時の成績や実力によって将来が決まるシステムで、実力さえあれば誰でも王室に入ることが出来る。
そして誰でもリュミナス王国の女王となる資格を持っていることにもなるのだ。
それぞれの科では「修行」という実習があり、この修行の成果が魔女としての実力を図る物差しとなっている。
初等科での修行は人間界に赴き、ホームステイを行いながら家族の中の一人をお手伝いをするというもの。
初等科の修行は4年生の夏休みを利用して行われる。その夏休みのスタートは一週間後に迫っていた。
「修行…ちょっとドキドキするなの…。リルテ、ちゃんとできるかなぁ」
「えー、あたしはすっごく楽しみ!初めての人間界だよ!きっとたっくさん面白いことがあるよ!」
大好きな2人の前ではあまり感じさせないが、リルテは少し臆病なところがある。ドジが激しく気合いが入っている
ときほど失敗してしまうので最後までやり遂げることがなかなか出来ないのだ。