〜第三章〜
工房から新しいパンの籠を持ってきた妹たちがマールのかけ声にはしゃいでいる。
「そーだ!せっかく人間界に行くんだし、楽しいことたっくさん見つけてくる!あーなんかウズウズしてきた!」
「うずうずしてきたー!」
なにやら燃え上がってきたマールに、妹たちがまとわりつく。
「さぁ!今日はかけっこしよっか?」
「うん!きょうそうきょうそう!」
外に走り出した妹たちを追ってマールも駆け出す。人間界で待っているであろうたくさんの楽しいことで頭がいっぱいになった マールは、妹たちに追いつくとその手を取って走るスピードをあげた。ほのかに光った自分の将来の夢、おいしいパンを 焼いてリルテとシェルに食べてほしいと願っていること、恥ずかしくてその願いを二人に隠していること、たくさんの 考えが頭の隅に追いやられ、人間界への期待が一番になった。
「いーっぱい遊んでこよう!きっとたっくさん楽しいことがあるよね!」
後で家に戻ることを全く考えずに、マールは妹たちといつまでも走り続けた。
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