一昨年までのコンテストは当時まで工房を守っていたマールのおばあちゃんとママが共同でコンテストに出ていた。
しかし昨年のコンテストはママが初めて一人で臨んだコンテストだった。コンテスト当日はお店を休みにして、マールたちは
家族総出でママを応援に行った。みんなが胸をどきどきさせてコンテストを見守っていたが、中でもずっとママを見てきた
おばあちゃんは瞳を固く閉じて一心にママの入賞を願っていた。悠然と見ていたのはひいおじいちゃんとひいおばあちゃん
だけで、いつもは楽観的なマールさえも緊張して、固唾を飲んで見守っていた。そんな緊張に耐えられなくなったマールは、
大声でママの応援を始めた。
『フレー!フレー!マーマ!フレー!フレー!マーマ!』
瞳を閉じていたおばあちゃん、目を真っ赤にしてママを見つめていたパパ、おばあちゃんの肩に手をおいて勇気づけていた
おじいちゃん、修業先から応援に駆けつけてきたお姉ちゃんたち、いつもと違う雰囲気で今にも泣きだしそうだった妹たち、
そしていろいろな重圧で肩に力が入っていたママ。マールの大声援は家族全員の緊張を溶かしていつもの家の中の雰囲気を
思い出させるものだった。
『フレー!フレー!マーマ!フレー!フレー!マーマ!』
『フレー!フレー!マーマ!フレー!フレー!マーマ!』
『フレー!フレー!マーマ!フレー!フレー!マーマ!』
家族みんながマールの声援に呼応して大音量で応援をはじめた。マールも負けないようにどんどん大声を出していると、
次第に緊張がほぐれてきて楽しくなってきた。