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未羽の言葉に、ゆうなは驚いた表情をした。
そして、プッと吹き出した。

「あっ、笑った!
あたし、真面目に悩んでるのにー!」
「ごめんごめん、学校の話をしてたはずなのに、予想外な話になったから」
「だって! 桜立舎ってお嬢様学校だから、あたしみたいな庶民が入ったら、いじめられそうかなって思ったんだもん!」

ゆうなは困ったような微笑みを浮かべる。

「本当のお嬢様はそんなことしないよ」

優しく頭を撫でられた。

「それに、キミみたいに、からかっても予想通りの反応が返ってくるような素直な子、いじめたってあまり楽しくなさそうだしね」
「ゆうなさん……」

唖然として未羽がゆうなの顔を見る。

「ふふ、冗談だよ。
そうだね、確かに、桜立舎には上流家庭のお嬢様も通っているけど……校風はおっとりしてて、むしろあたしみたいな騒々しい人間から見たら『この人たち、大丈夫なのかなぁ』と心配してしまうほどのノンキな学校だよ?」
「そーなんですか?」

ゆうなは笑ってうなずいた。

「知っての通り、かぐらちゃんもあの学校に通ってるんだけど……。
何もないところでつまづいたり、転んだりする天然なかぐらちゃんでさえ問題なく過ごせているんだから、普通の学校に普通に通えているキミなら大丈夫だよ」
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「そうかなー」
「そうだよ」

ゆうなの微笑みは、何故か信じても大丈夫なような気がして、ゆうながそう言うのなら、進学しても良いかもしれないと思える。

「将来ってのは、ハイリスク・ハイリターンだよ」
「え?」

突然の横文字に、未羽は目を丸くした。
そんな未羽を優しく見つめながら、ゆうなは微笑みかける。

「大きな変化を求めるなら、より大きなリスクを背負わなくてはならない。今を変えたいのなら、不安に飛び込んでいかなくちゃいけないってことさ」
「なるほどー!」

未羽は目をキラキラさせた。

「ハイフリスク……えーっと?」
「……キミはもう少し勉強をした方が良いかもしれないね」
「う……」
「桜立舎の入試には音楽の実技があるくらいで、その他は普通の学校の入試と変わらないから、ちゃんと勉強しないと」

ゆうなは苦笑混じりに言うと、思い出したかのように、荷物の中から1枚のCDを取り出した。

「これ、キミにあげるよ」
「何ですか、このCD……?」
「かぐらちゃんの演奏曲。
本当は別の子にあげる予定だったんだけどね、キミ、かぐらちゃんが大好きみたいだから、キミにもあげる」
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