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『未来への希望 2』

家に帰るとすぐ、あわただしく自室に篭り、ゆうなからもらったCDをデッキにセットした。
ベッドにダイブし、枕元にあったリモコンの再生ボタンを押す。
しばらくの間が空いて、やがて、あの不思議な音色がスピーカーから流れ出してきた。

「ああん、もう、やっぱりステキだよぅ……」

枕に顔をうずめながら、柔らかな旋律に身を任せる。
まるで、一つ一つの音が、未羽の肌を優しく撫でていくような感覚に、うっとりした。
ぎゅうっと枕を抱きしめる。
そうしないと、湧き上がる幸福感に叫びそうになった。

「やーん、やっぱり大好き〜!」

ベッドの上でゴロゴロ転がっていると、CDに収録されていた全てのトラックが終了して、スピーカーが沈黙する。
むっくりと起き上がって、未羽はデッキにリモコンを向けた。

「やん、もう、オートリピートにしちゃう!」

ピッピッとリモコンを操作する。
何度か聞いていると、頭の中にメロディが残った。
じっとしていられなくなって、立ち上がって、スピーカーから溢れてくる音にあわせて、口ずさむ。
幸せな高揚感。
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「ちょっと未羽、うるさいわよ!」

突然、バンとドアが開けられた。

「ごはんだって呼んでるのに、返事もしないで歌って踊って!
いい加減、近所迷惑も考えなさい!」

ずかずかと入ってきた姉に、いつもなら言い返すところだが、今日の未羽はいつにない上機嫌だった。

「お姉ちゃん、聞いて聞いて! この曲、すんごくステキなんだよ!」
「あん?」

一旦、CDを止めてから、眉間にシワを刻んだ姉の手を引き、ベッドに座らせ、再度、再生ボタンを押す。
流れてくる柔らかなフォルテールの音に、最初は不機嫌全開の表情だった姉も、少しずつ表情を和らげる。

「へぇ……あんた、どうしたの、このCD?」
「えへへ。ステキでしょう?」
「んー、まぁまぁなんじゃないの?」

そんな憎まれ口を叩いているが、姉が本心では未羽に同意しているのがわかっているから、未羽も嬉しくなる。

「もう、お姉ちゃんは素直じゃないんだから!
ステキだって一緒に騒いでくれたって良いじゃん!」
「はいはい、また今度ね〜」

いなすように、姉がふわふわの未羽の髪を撫でる。
未羽は真剣な表情で姉をじっと見た。

「な、何よ、未羽……そんな顔して……」
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