『未来への希望 3』

「ねぇねぇ……願書って提出したら、後は何をすればいいのかなー」

 教室で、机にだらーっとへばりついて、未羽はユカとナオミに訊いてみた。

「勉強でもしてれば?」
「ユカったら冷たいー!」

 あっさり短く返されて文句を言った時、校内放送が流れた。

『3年生の上月未羽さん、至急進路指導室へきてください』

「あれ……呼ばれた……」

 教室上部に備えつけられたスピーカーを見上げて、未羽が立ち上がる。

「何だろ……至急って言ってたよね……」
「もしかして、未羽の桜立舎の願書が受け付けられませんでしたー! とか?」

 軽口を叩くユカの脇を肘でつついて、ナオミが微笑みかけた。

「大丈夫だよ、未羽ちゃん。  きっと良いことがあって、先生がすぐにでも知らせたいって思ってるんだよ」
「……そうかなぁ」

 急に不安になってきた。

「とにかく、至急って言ってたから、早く行っといでよ」

「あ、うん!」

 小さくうなずいて、未羽はダッシュで教室から出て行った。

進路指導室に着いてすぐ、教師が申し訳なさそうな顔で謝ってきた。

「悪いな、上月。実は桜立舎学苑なんだが……」
「エッ!? もしかして、あたしは受験もさせてもらえないとか!?」

教師は呆れた顔で、丸めた書類で、未羽の頭をポコッと叩く。

「そうじゃない。人の話は最後まで聞きなさい」

叱られて、未羽は、はーいと舌を出して微笑んだ。
教師の態度から、桜立舎学苑を受験させてもらえないという事態ではないようで、取り敢えずはホッとする。

「桜立舎学苑なんだが……願書は郵送ではなく、志願者本人が持ってこなければいけないそうだ」
「へぇ、そうなんですか?」

深刻そうに言う教師に対して、未羽はあっさりうなずいた。

「パンフレットには何も書いてなかったから、先生も知らなくてな。  先月送って、送ったことに安心して、確認を忘れてたんだよ」
「えー、忘れちゃうなんてヒドイ!」
「すまん、上月」
「ぶーぶー!」

唇を尖らせて、抗議する。
教師はまた済まなさそうな顔で、未羽の頭をポンポンと叩いた。
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