未来への希望 3

「で、昨日、学校宛に、一度、学苑の見学を兼ねて、本人が顔を出してくれたら嬉しいという内容の手紙が送られてきたんだが……上月、行けるか?」
未羽は小さく肩をすくめる。
それから、ニヤッと笑った。

「行った方が良いんでしょ?」
「まぁ、そうなんだが……。  今回のことはあちら側の不手際だから、都合が悪ければ来校できなくても構わないということと、願書はこのまま受け付けると言ってくれてるんだが……」
「でも行く!」

きっぱりと答える。
未羽の言葉は意外だったようで、教師は目を丸くしていた。

「え、そうか?」
「ついでに、学校の中を案内してもらう!」
「……ちゃっかりしてるな、おまえ」
「えへへー。でも、あたしの場合は家から1時間程度でいけるからいいけど、遠いところに住んでる子も願書を持っていかなきゃなんないのかな?」

だとしたら不親切だよね、と未羽はまた唇を尖らせる。

「いや、今回はパンフレットの印刷ミスらしく載っていないらしいんだが、郵送不可の地域が指定されているらしい。  上月の家は、もちろん、その郵送不可地域だったというわけだ」
「ふーん」
「向こうの先生と電話で少し話をしたんだが、今年は何故か外部からの入学希望者が多いらしくて、ちょっとバタバタしていたみたいだぞ。  いつもは多くて20人程度らしいんだが、今年は

届いた願書だけでいつもの3倍近くあったらしい」
「へー」

聞いているんだか、聞いていないんだか良くわからない未羽の反応に、教師は呆れたようにため息をついた。
「……のんびりしてるな、おまえは。  志願者が増えるってことは、それだけ競争率が上がるってことだろうが」
「あ……!」

 言われて初めて気づいたように、未羽は顔を上げる。

「しっかりしろよ、上月!  今の成績なら筆記試験は問題ないだろうが、実技試験は何があるかわからんから、油断は禁物だぞ?」
「はーい!」

取り敢えず、といった感じで元気に返事をして、未羽は大きく右手を上げた。
とにもかくにも、受験資格がなくなったわけではない、ということで、未羽は安心していた。

それから2日後。
教師が電話で予約してくれた時間枠に従って、未羽は学苑へと赴いた。

「こっちかなー……」

備品のスリッパをパタパタさせながら歩いて、職員室と書かれたプレートの下で立ち止まる。
ノックを2回すると、内側から「どうぞ」という返事が返ってきたので、未羽はドアを大きく開けた。
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