未来への希望 3

「……チョー羨ましいんだけど」

ボソリと呟いた。
それから、想像してみる。
「かぐらせんぱーい!」と呼んで、「とうっ!」とジャンプして、がしっと抱きつく自分。
それをかぐらが、しっかりと抱き止めてくれて――。

「……ああ、ステキ……」

未羽はうっとりとかぐらの消えた方向を見た。
この学苑に入学できた暁には、何としてでもかぐらと仲良くなって、さっきの人みたいに、かぐらに抱きつくのだ。

「そのためには、絶対に合格しなきゃ!」

ぐっと握り拳を作った未羽に、クスクスと笑いかける声が振ってくる。

「その意気ですよ、ミス上月」

見上げると、スミス先生が微笑んでいる。

「あなたのようにガッツ溢れる生徒がいると、この学苑もきっと良い方向へと変わりそうな気がしますわね。  ぜひ、入学してくださいね」

そう言われ、未羽は照れてしまった。

「えへへ……まずは入学試験を頑張らなきゃ、ですよね」
「ふふ、ミス上月ならきっと大丈夫ですよ」

ふわりと微笑まれて、嬉しくなる。
こんな風に柔らかく自分を肯定してくれる存在があるということが、こんなにもくすぐったい嬉しさを伴うものだとは思わなかった。

「スミス先生もいるし、あたし、ガゼン頑張っちゃいます!」
「ふふ、頼もしいわ」

ニコッと笑ってから、スミス先生は手元の時計をチラッと見た。

「ああ……ミス上月。  中座しておきながら、大変申し訳ないのだけれど、次の受験希望者の案内の時間が迫っているようです。  もし良ければ、別の日程で校内の案内をしますが、希望しますか?」

申し訳なさそうな顔をするスミス先生に、未羽は少し考えてから、笑顔で首を横に振った。

「あ……いえ、いいです。  また受験に来る日に、ちょこっとウロウロさせてもらえれば」
「それはできるかどうか約束はできないけれど……そうね、希望者には集団で案内役をつけるということも検討してみても良いかもしれないわ」

ブツブツと言い始めたスミス先生だが、職員室で別の教師と話をしている知らない制服を着た少女を見て、未羽に微笑みかける。

「では、ミス上月。  受験の日、会えるのを楽しみにしていますね」
「はい、スミス先生!」

ぺこりと頭を下げて、未羽は元気に職員室を後にした。
ドアを閉める前に、チラッと来客を見る。
同じ年代くらいの、どこかの学校の知らない制服を着ている子だった。
すらりと背の高い少女で、印象的なストレートの長い髪と、整った顔立ちをしているが、緊張しているのか、その表情からは、彼女の感情はうかがえない。
(この子が、さっき先生が言ってた次の受験希望者かな?)
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