HONESTIES 1

彼女たちの話す内容は、あくまでも他人事のようだった。
ちょっとさみしくなる織歌だったが、今までの自分の態度を考えると、それも仕方がないと思い直す。
けれど……。

(頑張っているのを認めてもらえないのは、意外と辛いものなのね……)

 そんなことを考えた、その矢先――。

「……でもさ、二波さんには桜立舎で頑張ってほしいよね」

その言葉に、織歌はドキッとした。

「うん……わたしたちみたいな一般人じゃあ、彼女の友達にはなれそうにないけど、桜立舎には、二波さんにふさわしい音楽のセンスあふれる人がいそうだし」
「遅刻してもお咎めナシってのはムカつくけど、二波さんも若いのにイロイロ苦労してそうだしね」
「やーだ、『若いのに』って同い年じゃーん!」

きゃははと笑う声が聞こえる。

「……」

胸の奥が、少しあたたかくなった。
同級生たちが自分をどう見ていたのかがわかって、複雑な心境でもあったが、それでも彼女たちは、織歌が新しい学校で頑張ることを祈ってくれているのだ。

「……」

卵焼きを口に運ぶ。
穏やかな気分で食べた弁当は、いつもと全然違っていて、すごく美味しかった。

噂話をしていた同級生たちの声が遠ざかっていく。
常にないほどにリラックスした気分で弁当箱を片付けて教室に戻ると、委員長が何か言いたげに織歌をじっと見ている。

「何か用?」

つい、いつものようにつっけんどんに言ってしまい、反省した。

「あの……ごめんなさい、わたし、こんな言い方しかできなくて……」

自己嫌悪に陥りかける織歌に、委員長は柔らかな微笑みを浮かべて、ゆっくりと首を振ってみせた。

「別に気を悪くするとかはないから、大丈夫よ。  それより、二波さんは今日も一人でお弁当を?」

少し声が震えているような気がする。
そんなに怖がらせているのか、と落ち込みつつも、織歌はこくりとうなずいた。
口を開くと、またとげとげしい言葉が出そうだったので、何も言わないことにする。
「それが何か?」と視線に疑問を乗せて、じっと委員長を見た。
が、委員長は何やらモジモジしている。

「んー……と、あの……、あのね、二波さん……」
「……」

口ごもっては、チラッと織歌を上目遣いに見て、また口ごもってモジモジする委員長に、正直、苛立ちを覚えた。
早く言え、と言いたいのを我慢して、織歌は無表情で待つ。
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