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そんなことを考えたが、それは杞憂に終わったようだ。
委員長は、にっこりと嬉しそうに微笑んでくれた。

「もちろんよ!
明日が楽しみだわ!」
「……」

そんな風に言ってもらえる日がくるなんて、考えもしなかった。
じわじわと胸の奥に広がる嬉しさに、顔の筋肉がどんどんと緩んでいく。
自分がちゃんと微笑むことができているのか、不安になったけれど。
でも、下手な微笑みでも良いから、歩み寄ってくれた委員長に、自分が喜んでいることを伝えたいと思った。

「……うーん、でも残念だなぁ」

突然、委員長がボソッと呟いた。
その言葉に、織歌はまたドキッとする。
……何か、委員長が残念がるようなことをやってしまったのだろうか?
それとも、微笑みそのものが『残念』だったとか……?
だとしたら、しばらくは立ち直れそうにない……。
そんなことをグルグル考えて、織歌は短くきいてみた。

「何が?」

言ってしまった後で、またもや素っ気なさすぎたかと反省する。
自分の人付き合いの下手さ加減に落ち込みながら、落ち込んでいる暇はないんだから、と奮起した。
そんな織歌の内面の葛藤に気づくはずもない委員長は、織歌に向けて、少し寂しそうな微笑みを浮かべる。
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「だって、二波さん……H女に行かないんでしょう?」

H女学院に行かないことと、委員長が残念がる理由が、織歌の中で繋がらない。

「……そうだけど?」

委員長は織歌を見て、小さく笑った。
その笑いの意味がわからず、織歌はまた混乱する。

「わたし、桜立舎を受験するわよ……他の学校に通うつもりはないから」

そう説明すると、委員長は困ったように微笑んだ。

「H女は二波さんにとって、魅力がなかったのね」
「……」

そうだと肯定するのは無神経なことだということは、織歌にも理解できた。
なので、黙って委員長を見る。

「……あーあ。
あの可愛い制服を着た二波さん、見たかったんだけどなー」

ふふふと笑う級友に、また戸惑った。
委員長の本心が全く読めない。
そんな織歌が面白かったのか、彼女はまた笑った。

「あたし、H女学院を受けるんだけど、忘れちゃった?」
「……?」
「わからないかなぁ?
一緒の学校に行きたかった、って言ってるんだけど」
「あ」
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