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『HONESTIES 2』

学苑に電話をすると、学苑に顔を出す際にも、時間予約が必要だったらしい。
一度にたくさんの生徒に来校されても、学苑側としても困るのだろう。
それにしても、と、織歌は思う。
書留で送った受験願書は、そのまま学苑にあるというのに、わざわざ来て欲しいというのは、学苑の人にとっても手間なのではないのだろうか?
織歌としては、特に断る理由もない上、ついでに学苑を案内してくれるとのことだったので、二つ返事でOKしたわけだが。

「……不思議な学校」

そう呟きつつも、その不思議な学校の不器用さが、自分に重なるような気がして、織歌は桜立舎学苑に顔を出す日を楽しみにしていた。

予約の日、時間より少し早く、織歌は学苑の門をくぐる。
廊下に出ている表示に従って職員室に行くと、担当の教師は別の受験希望の生徒を案内しているから、待っているように言われた。
早く着いたのだから、待たされるのは仕方がない。
そう思い、うなずいた矢先に、その教師が戻ってきたらしい。
すらりとした長身の白人系の女性と、見たことのない制服を着た、自分と同じくらいの年齢の少女が、並んで廊下を歩いてくるのが見えた。
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その少女の制服は、やや野暮ったさを感じるセーラー服だった。
そう言えば、同級生たちは、制服の可愛らしさで学校を選ぶこともあるようなことを言っていたことを思い出す。
その時は、制服で学校を選ぶなんてバカバカしいと思って聞き流していた織歌だったが、少なくとも、目の前のこの少女は、織歌と同じく、制服の可愛らしさで学校を選ぶタイプではないらしい。
少女のセーラー服は、スカート丈を短くしたり、スカーフをおしゃれに結んだりということはしていないようで、それが野暮ったさを見せている原因だとわかってはいたが、その改変のない制服にこそ好印象を抱いた。

「……?」

ふと気づくと、その少女は織歌をじっと見つめている。
ニコッと微笑んだ顔は、何やら見覚えがあるような気がして、胸の奥がざわめく。
どこで見たのか思い出せずにいると、その少女がぺこりと頭を下げてきた。

(……どこかで見たはずなのに、……ダメだ、ぜんぜん思い出せないわ……)

そんなことを考えている内に、どうやらまた織歌は現実世界から離れてしまっていたらしい。
ハッと我に返った時には、その少女は既に姿を消していた。
どうやら、織歌が思いにふけっている間に、さっさと帰ってしまったようだ。
……残念だ。
少し話をしたいと思っていたというのに。
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