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ありえないっしょ!
あ、でも、おじさんたちから見えないってことは、痴漢されることもなくて、それはそれでありがたいんですけどねー。
そういえば、この間も小学生に間違えられたんですよぅ!
しかも、おまわりさんが……って、ゆうなさん、聞いてますー!?」

弾丸のようにまくしたてられる未羽の言葉がおかしくて、ニヤニヤしていたのが気に障ったらしい。
今度は、両手をバタバタさせながら、未羽は怒っているとアピールした。

「あははは、未羽ちゃんは可愛いねぇ」

腕を伸ばして、ぎゅっと抱き締めると、未羽の小さな身体はすっぽりとゆうなの腕の中に納まってしまう。
ゆうなに抱き締められながら、未羽は小鳥のように首をかしげながら、ゆうなを見上げた。

「可愛い?
あたし、可愛い?」
「うん、可愛い。未羽ちゃんは素直で、とっても可愛いよ」
「えへへー」

嬉しそうな顔をする未羽をそっと手放すと、未羽は嬉しそうに、その場をクルクルと3回ほどターンしてから、また戻ってきた。

「可愛いって言ってもらっちゃった!」

その天真爛漫な仕草に、ゆうなもまた微笑みを浮かべる。

「小さくてもいいじゃない。
大きい身体を小さく見せることは無理があるけど、小さい身体を大きく見せる方法なら、いくらでもあるんだから、気にしなくても良いと思うよ」
「うーん、でもぉ……」
「それに、小さいほうが抱き締めがいがあって、あたしは嬉しいな」
「抱き締めがい……?」
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ストレートなゆうなの言葉に、未羽はまた首をかしげている。
どうやら、ゆうなの言葉の裏は伝わらなかったらしい。

「うーん、ゆうなさんがそう言ってくれるんなら、あたし、小さくてもいいかなー?」

えへへと笑ってから、未羽はゆうなから少し離れて、ガードレールに腰をかけた。
ゆうなも、中断していたライブの準備を再開する。

「あ、そうだ!
かぐらさんのCD、ありがとうございました!
ライブのような臨場感はなかったけど、音が流れるようにスムーズで、すっごく気持ち良かったです!」
「そう? 喜んでもらえて、あたしも嬉しいな」
「それに、あたし、桜立舎学苑の願書も出しました!」
「……」

未羽の言葉に、ゆうなが手を止めた。
それから、ゆっくりと振り返る。

「そう……。それで、学苑の様子はどうだった?」

ゆうなに聞かれて、未羽は「うーん」と先日の様子を思い出した。

「んーとね、あたしを案内してくれたのは、女の先生だった!
キビシそうだけど、優しい先生だったなー。
最初ね、あたし、テンパっちゃって、変な英語を喋っちゃったんだけど、そのセンセったらニッコリ笑って、今日のことは試験とは無関係だから大丈夫って言ってくれたんだぁ」
「そうなんだ……良かったね」
「はい!
でね、かぐらさんとも会っちゃったんですよー!」
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