『I'll do my best. 2』

放課後、菓子折りを買ってから、目的地のK駅前南口ロータリーへ到着した織歌だったが、残念ながら、目的の人物は見当たらなかった。
がっかりしながらも、そのまま帰る気になれずに、いつもゆうなが腰掛けているガードレールの前まで行く。
そのまま、何をするでもなく、織歌はただぼんやりと、ガードレールを見つめていた。

「ねぇ、お嬢さん、こんなところで何しているの?」

背後から声をかけられたが、聞こえないフリをする。

「このままここに立ってても、仕方がないんじゃない?  ねぇ、一緒に遊ぼうよ?」
「…………」

相変わらず無反応を貫いていると、今度はクスクスと笑われた。

「……?」

聞き覚えのあるその笑い声に振り向くと、そこにはゆうなが立っていた。

「ダメだよ、そんなんじゃあ、ナンパは撃退できないよ?」
「あ……えっと……」

突然の出現に、織歌はどう反応すれば良いのかわからず、ただ視線をあちこちにさまよわせる。

「驚かせちゃった? ごめん、ごめん」
「あ……いえ……」

ケラケラ笑うゆうなに何も言えないまま、小さく首を振る。
そして、ふと、ゆうながフォルテールを持っていないことに気がついた。

「今日は……ライブはしないんですか?」

ゆうなはにっこりと笑って、こっくりと頷く。

「ん、毎日はライブしないよ」

疲れちゃうからね、と微笑むと、ゆうなはいつものようにガードレールに座った。
その言葉に、織歌は首をかしげる。

「じゃあ、どうしてここに?」

ゆうなに手招きをされて、織歌もガードレールに座る。

「んー、それはね、キミが呼んでるような気がしたんだよ」
「……!?」

唖然として、織歌はゆうなの悪戯っぽい微笑を見た。
目を丸くした織歌の表情が面白かったのか、ゆうなはクスクス笑っている。

「冗談だよ。  この駅は良く使う駅だからね、ここを通りがかったのは、たまたま、だよ」
「か……からかったんですか?」
「からかうだなんて。  あたしはただ、織歌ちゃんがあたしを呼んでくれてるといいなぁって思ってただけ。  で、実際、織歌ちゃんはあたしを呼んでくれてたワケ?」
「…………」

織歌は何も言えず、きゅっと唇を噛んで、うつむいた。
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