I'll do my best. 2

素のままの自分を受け入れてもらえているような実感が、織歌を嬉しくさせている。
じわじわと顔が熱くなっていくのが恥ずかしくて、織歌は手にしていた最中にかじりついた。
そして、エリカにもらって、ポケットに入れていたクッキーのことも思い出す。

「あの、ゆうなさん……。  わたし、クラスの子から、クッキーをいただいたんですけど、一緒に食べませんか?」

勇気を出して、そう聞いたのだったが、ゆうなは苦笑にも似た表情を浮かべた。

「最中にクッキー?  面白い取り合わせだね」
「あ……」

クスクスと笑われて、羞恥に顔が赤くなる。

「ふふ、織歌ちゃんって、意外と表情豊かだよね」
「わたしが……ですか?」
「うん、キミが、だよ。  本当のキミは、きっと照れ屋さんなんだろうね」
「…………」

ゆうなの言葉に、どんな顔をしたらいいのかわからず、織歌は照れ隠しに、ペットボトルのお茶を飲む。

「そのクッキーって、もしかして、手作り?」

不意に聞かれて、慌てて頷く。
その様子がおかしかったのか、ゆうなが笑ったが、笑われても不快に思わないのが不思議だと思う。

「手作りのクッキーなら、それは織歌ちゃんが一人で食べるべき

だよ。 せっかく織歌ちゃんのために作ったクッキーを、
あたしが食べちゃうのって、作ってくれた子に悪いよ」
「あ……そうですよね……すみません」

謝った織歌に、またゆうなが笑った。

「そんな風に謝らなくてもいいってば。  あ、そうそう……キミにあげたいものがあったんだよ」

本当は、桜立舎を受験する前に渡したかったんだけど、と前置きをして、ゆうなはカバンの中から1枚のCDを取り出した。

「これは……?」

CDを持って、首をかしげる織歌へと、ゆうなは悪戯っぽい微笑みを浮かべる。

「家に帰ったら、聞いてみて」

それから、ウィンクを一つ、投げて寄越した。

「キミの悩みを解決するための、ひとつの鍵になったらいいんだけど……ね」

☆ ☆ ☆

帰宅した織歌は、練習室に置いてあるCDデッキにCDをセットした。
練習室の外では、心配そうな顔をした小夜子が室内をうかがっているのがわかっていたが、邪魔をされたくなかったので、鍵をかけて締め出すことにする。
わざわざ自分のために時間を割いてレッスンに通ってきてくれている小夜子に、酷い不義理を働いているという自覚はあったものの、
前へ -4- 次へ
●ウィンドウを閉じる●