I'll do my best. 3

オプションは、関係はありません。  特別待遇で入学するかどうかは、正式に、入学試験に合格してからの話です」
「ほほほ、これは手厳しいわね」

 きっぱり言った織歌の言葉に、学苑長は気を害した様子もなく、笑いながら肩を竦めた。

「正式な合格通知は後日、郵送しますが、実技試験の内容では、あなたは合格です」
「……筆記試験の結果を見るまでは、合否はわからないというわけですね」
「ええ、当然です。  他の学校ではどうなのかは存じませんが、少なくともこの学苑では、特別待遇生だからといって、試験までをも特別待遇にするつもりはありませんよ。学生の本分は勉強なのですから」
「そうですね」

織歌の頬にも笑みが浮かぶ。

「あなたが我が学苑に来てくれたら、きっと他の生徒たちの良い刺激になるでしょう。  もちろん、あなたにとっても、我が学苑での生活は、良い刺激になるはずだと信じています」
「はい」
「入学前に、あなたとお話をしてみたかっただけだったのですが、わたくしのワガママで遅くまで残っていただいて、ごめんなさいね。  ところで、今日は見学をして帰りますか?」

学苑長の申し出に、心が少し揺らいだが、ふと目に入った窓の外の風景に、織歌はゆっくりと首を振った。

「いえ、前回来た時に見学させていただいたので、今日はもう帰ります」
「そうですか。では、また」

立ち上がって、一礼して学苑長室を出る。
今日は早く帰れるはずだったのにな、と思いながら、学苑長室のドアに背を向けた。
その時、織歌と同じく受験生らしい少女が、織歌の前を通りがかったところだった。

「あ……」

見覚えのある少女の姿に、思わず、声が出る。

「あっ!」

それは、向こうも同じだったようで、相手も小さく声を出した。
しばらく見つめあう。

「この間の……?」

ふわふわした髪を揺らしながら、相手が呟く。
その声で、ライブのときにかぐらに声援を送っていたうるさい子だと、織歌は思い出した。
にわかに相手に対する興味が湧いてきたが、どうしたらよいのかわからなくて、織歌はただ相手の少女を見つめる。
やっぱり相手も同様だったらしく、織歌をただじっと見ている。
そうして、二人はしばらくの間、学苑長室の前で、お互いを見つめあっていた。

< 続く >
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