 |

「一緒に通えたらいいね」
「そうだよね!
でも、あたし、合格したら、さっさと入学決めちゃうからね!」
「…………?」

未羽の言葉の意味がわからず、織歌は首をかしげる。
すると、未羽がニヤッと笑った。

「受験に失敗したら、浪人するんだよね?
うふふ、あたし、あなたに上月先輩って呼ばれるようになっちゃったら、どうしよう〜」
「…………」

不吉なことを、ニヤニヤした顔で言われて、思わず織歌の眉間にシワがよった。

「あ、怒った? 怒っちゃった?
やーん、ちょっとしたジョークだよぅ、怒らないで〜?」

甘えた仕草で、しなだれかかってくる未羽を、ポイッと放り投げるような仕草で突き放す。

「ジョークにしても、もう少し場の空気を考えた方が良いのではなくて?」

そう言ってしまった後、言い方がキツかったかと思って未羽を見ると、未羽は目を丸くして織歌を見ていた。

「あ、その……」

ごめんなさい、と謝ろうとした矢先に、またぎゅっと手を握られる。

「やーん、さっきの言い方、すっごいお嬢様みたーい!
『考えた方が良いのではなくてッ!?』
ううう〜〜〜、かっこいいよぉ!」
「…………」
|
 |

織歌は呆れてしまって、ただ天を仰いだ。
グレーがかった曇天の空には、かすみがかった月が見えて、織歌は常にない気分の良さに、ついクスッと笑ってしまった。
☆ ☆ ☆
それから、しばらくの間、織歌は未羽の話を聞いていた。
未羽は家族のことや友達のことを、屈託なく話してくれて、同時に織歌の話を上手に引き出してくれる。
時々、織歌を絶句させたり、ムッとさせたりすることもあるが、それが未羽のキャラクターなのだろうと、織歌は納得することにした。
いろんな人がいるからこそ、人付き合いは面白いのかもしれない。
そう思えるようになってきたのは、自分でもすごい成長だと思える。
小夜子に連れられて、ゆうなのライブでかぐらの演奏を耳にした日以来、自分の人生はどんどん変わってきている。
時々、自分で自分の変化が怖くなることもある。
けれど、きっとこの変化は、自分がより成長するためには、欠かせない変化なのだろうと思う。

「今日は、ゆうなさんのライブはないみたいだね」

話が途切れた時、未羽がポツリと言った。

「この間、お会いした時、『疲れてしまうから、毎日はライブはしない』って仰っていたわ」
「ま、そりゃそうだよね!
毎日ライブするのって、楽しいだろうけど、やっぱ疲れちゃいそうだもんね!」
|
 |