出会いに万歳!

明るい声で言った後、未羽はガードレールからぴょんと飛び降りた。

「ねぇ、次に会った時は、おりちゃんのフォルテールを聞かせてね!  あたしも、おりちゃんに、あたしの最高の歌、聞かせてあげる!  たぶん、入学式になるだろうけど!」

織歌は目を丸くした。

「おりちゃん……?」

意外なニックネームに唖然としつつも、胸の奥がくすぐったくて、嫌な気はしない。
未羽はニッコリと笑っている。
既に日はとっぷりと暮れているが、駅前の街灯は明るく、お互いの表情は昼間のようにはっきりと見える。

「あたしん家、ちょっと遠いから、もう帰るね!  ゆうなさんのライブもないようだけど、おりちゃんはどうする?」
「なら……わたしも帰るわ。試験が終わったこと、メールだけでなく、ちゃんと報告しておきたいし」
「そっか」

未羽はまたニコッと笑った。
まるで夏のひまわりのような明るい笑顔を見る度に、織歌の心が軽くなってゆく気がする。

「じゃ、また……入学式でね!  一緒に学苑生活を楽しもうね!」

未羽はぶんぶん手を振って、駅へと向かう。
すっかり受かる気でいる未羽の様子に、織歌はただ苦笑した。

「また、ね」


ガードレールに腰掛けたまま控えめに手を振ると、 一旦、背を向けた未羽が、また振り返り、大げさなほどに手を振り返された。

「……不思議な子」

そう呟いた織歌は、帰途に着こうとして、自分も駅を利用することを思い出し、慌てて未羽の後を追いかけたのだった。

< 続く >
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