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「ううん、それは悪いことじゃないの。
当たり前のことだし、仕方がないことだよね。
でも……今まで、わたしたちが未羽ちゃんの一番の友達で……だから、感情が納得しないの。
わたしたちは未羽ちゃんが大好きなんだもの!」
「ナオミ!」

何故、そんなことをしたのかはわからない。
が、気がつくと、未羽はナオミに抱きついていた。

「学校が変わっても、ナオミたちがあたしの一番の親友だよ!」
「未羽ちゃん……」
「ユカとナオミがいたから、あたし、桜立舎を受けようって思ったんだもん!
だから、あたしの一番の親友は……」
「ダメだよ、未羽ちゃん」

言い終わらない内に、ナオミは未羽の腕の中から逃れ出た。

「わたしたちは、未羽ちゃんの一番の親友だった。
過去形、なんだよ」
「ナオミ……」
「未羽ちゃんは、新しい学校で、新しい親友を作らなきゃダメだよ。
同じような夢を持った『仲間』と、今よりももっと高い場所を目指さなきゃダメ。
でなきゃ、わたしたちと離れて、桜立舎へ行く意味がないよ」
「…………」

ナオミの言葉に、未羽はハッとする。
ナオミはポロポロと涙をこぼしながらも、未羽ににっこりと微笑みかけた。

「未羽ちゃんが落ち込んでしまった時は、わたしたちが慰めてあげる。
でも、それ以上のことは、わたしたちにはもうできないの……。
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ユカはね、本当は未羽ちゃんを追いかけて、桜立舎を受験するつもりだったの。だって、未羽ちゃんのピンチに真っ先に駆けつけるには、一緒の学校じゃなきゃ不利だもんね。
でも、何かの間違いで入学できたとしても、音楽に縁のないユカは、未羽ちゃんの枷にしかならないって言い出して……あの気の強いユカが泣くの、見てるだけだったのはとても辛かったよ」
「ユカが……?」
「未羽ちゃんは、ユカの決心をムダにしないで。
わたしたちとのお友達ごっこくらいで、満足してちゃダメだよ」

ナオミの指が、いつの間にか流れていた未羽の涙にそっと触れる。
それから、ふふっと小さく笑って、自分の涙を指で拭った。

「なーんてね。
今、わたしが喋ったこと、ユカにはナイショよ。
バレたら、わたしがユカに絶交されちゃう!」

クスクスと笑うナオミに、未羽は泣き笑いの表情を浮かべた。

「うん……今のあたしがいるのは、二人のお陰だよ。
わかってる。
……感謝、してるよ、ありがとう」
「そうそう、たっぷり感謝してね。
学校は別になっちゃったけど、わたしたちは友達なんだから」

明るいナオミの言葉に、未羽は乱暴に制服の袖で涙を拭いて、ニコッと笑う。

「うん!
あたしたちの友情は変わらない〜!
夏休みになったら、去年みたいに、また泊めてくれる?」
「えー。わたし、今年こそはユカと二人っきりでパジャマパーティするはずだったのに、未羽ちゃんも加わるのかぁ」
「やーん、ひっどーい!
あたしをのけ者にするなんて、ナオミ、意地悪になった!
ユカのがうつったんじゃない?
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