|
 |
 |
 |
司が後悔しつつ春花を運んでいる頃。
広田寛は裏路地で、見知らぬ少女を拾う青年の姿を見つけていた。
きっと少女は、うまい食事にありつくのだろう。
温かい寝床を得るのだろう。
不公平だ。
路地裏の王にまで昇りつめた男は、立ち上がる。
自分が気持ち良く生きるために。 |
|
「査察に来た。家中、改めさせてもらう」
寛は司の家に強引にもぐりこんだ。
「あんた誰だ」
しかし、他人の質問に答えるような甘い寛ではない。
計画的犯行だ。
…それから、追い出されるまでの数分の間に。
司と春花の食卓は、寛の暗黒面へと消えていった。
|
 |
|
|
|
|